FX相場を動かす直接の要因は、貿易や国際証券投資に伴う通貨への需給です。
このうち国際証券投資においては、世界を駆けめぐる投資マネーが各国の金利に少なからず影響されて動きます。マネーは金利の高い国へ向かいやすいです。
債券投資では、金利の高い国の債券を買った方が当然のごとく高利回りです。株式投資でも、一般に金利水準はその国の経済成長性を反映するため、高金利国の方が比較的高いリターンが期待できるケースが多いです。
なぜなら、高い経済成長のもとでは「モノは作れば売れる」という傾向が強いため、企業の資金需要(特に設備投資資金のための長期借入への需要)が旺盛だからです。
資金の借り手(企業)と貸し手(銀行)との間での需給関係において、前者の需要が比較的強いため金利水準は高くなりがちなのです。
高い金利が示す高い経済成長は、それを担う同国企業の高い利益伸長並びに株価伸長に裏付けられます。
したがって、債券の高利回りおよび株式の高収益率を期待して、投資マネーは高金利国に向かう傾向があるのです。結果、これらの金融商品への投資資金としての投資対象国通貨への需要増を通じて、FX市場では高金利国の通貨が買われることが多いです。
ただし、いくら高金利でも過度なインフレ国の通貨は、国債のデフォルト等"カントリーリスク"を伴う悪いケースもあります。適度な経済成長に裏付けられた「良い高金利」であることが大切です。
政策金利の水準も概ね経済成長に連動します。
中央銀行が金融政策の主な対象とする金利は、0/N(翌日物:オーバーナイト)の短期金利です。経済成長が加速するにつれて景気に過熱感が生じてくると、過度なインフレを抑えるために中央銀行は政策金利を引き上げるからです(逆に経済成長の鈍化とともに景気が落ち込むとそのテコ入れのために政策金利は引き下げられる)。
すなわち、企業の借入金利と同じく中央銀行の政策金利も、その国の債券の利回りおよび株式投資の期待リターンとの運動性が高いのです。
FX相場の先行き予想において、金利は重要なファクターです。